パキポディウム属(Pachypodium)はマダガスカル・南アフリカ原産の多肉植物で、流通している主な種は20種類ほど。属名の意味は「太い足」(ギリシャ語 pachys + podion)。国内で最もよく流通するのはグラキリス・ラメレイ・恵比寿笑い(ブレビカウレ)の3種です。
パキポディウム全種類の難易度別一覧
初心者向け(育てやすい・流通量が多い)
初心者向けパキポディウム
本文の初心者向け一覧に出てくる、流通量が多いパキポディウムです。
| 種名 | 通称 | 特徴 | 記事リンク |
|---|---|---|---|
| P. lamerei | パキポディウム・ラメレイ | 最も流通量が多い入門種。白い幹と白花 | 詳細記事 |
| P. geayi | パキポディウム・ゲアイー | ラメレイに似るが灰色のベルベット状幹。赤い葉脈 | 詳細記事 |
| P. rosulatum | パキポディウム・ロスラーツム | コンパクトな株形・黄花 | 詳細記事 |
| P. horombense | パキポディウム・ホロンベンセ | ロスラーツムに近縁・丸みある塊茎 | 詳細記事 |
中級者向け(管理のコツが必要)
中級者向けパキポディウム
人気が高い一方で、過湿や冬管理に注意したい代表種です。恵比寿大黒は権利安全な実株写真が未確保のため掲載していません。
| 種名 | 通称 | 特徴 | 記事リンク |
|---|---|---|---|
| P. gracilius | パキポディウム・グラキリス | 最人気種。丸いボールのような塊茎 | 詳細記事 |
| P. brevicaule | 恵比寿笑い | 扁平な塊茎・黄花。低温と過湿に弱い | 詳細記事 |
| P. densicaule | 恵比寿大黒 | グラキリスと恵比寿笑いの自然交配種説あり | 詳細記事 |
| P. baronii | パキポディウム・バロニー | 赤い花が特徴・属内では珍しい赤花 | 詳細記事 |
| P. windsorii | パキポディウム・ウィンゾリー | 赤花・マダガスカル北部固有 | 詳細記事 |
上級者・コレクター向け(希少・管理が難しい)
上級者・コレクター向けパキポディウム
希少性や管理難度が上がる種のうち、同定と権利を確認できた写真だけを掲載します。
| 種名 | 通称 | 特徴 | 記事リンク |
|---|---|---|---|
| P. inopinatum | パキポディウム・イノピナツム | 高山種・涼しい環境を好む | 詳細記事 |
| P. eburneum | パキポディウム・エブレネウム | 象牙色の棘・マダガスカル固有 | 詳細記事 |
| P. ambongense | パキポディウム・アンボンゲンセ | 希少種・入手難 | 詳細記事 |
| P. decaryi | パキポディウム・デカリー | 螺旋状に並ぶ葉が個性的 | 詳細記事 |
| P. saundersii | パキポディウム・サンデルシー | 南アフリカ産・白花・根型 | ─ |
| P. succulentum | パキポディウム・サクレンタム | 根塊型・流通が増えている | 詳細記事 |
種類の選び方:目的別おすすめ
「最初の1株」を選ぶなら
ラメレイ(P. lamerei)がベストです。理由は:
- 全種の中で最も安価(500円〜)
- 夏型で管理がシンプル
- 白い幹と白花という「パキポディウムらしさ」を十分に体験できる
詳しくは初心者向け塊根植物おすすめ10選を参照してください。
「最も人気・価値が高い種」なら
グラキリス(P. gracilius)。球形の塊茎が美しく、コレクター需要が高い。大型個体は数万〜十数万円になることも。ただし、人気に乗じた品質の悪い株も多く出回っているため、購入先の選定が重要です。
「花を楽しみたい」なら
赤花を咲かせるバロニー(P. baronii)またはウィンゾリー(P. windsorii)。珍しい赤花系パキポディウムとして、育てて開花した時の達成感が大きい。
「コンパクトに育てたい」なら
恵比寿笑い(P. brevicaule)。扁平で大きくなりにくく、省スペースで育てられる。ただし低温と過湿に敏感なため、冬管理に注意が必要。
パキポディウムの共通育て方
すべての種に共通する基本管理:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 日照 | 直射日光6時間以上(夏型は特に重要) |
| 水やり | 春〜秋は土が乾いたら充分に。冬は落葉後ほぼ断水 |
| 最低気温 | 5℃以上(種により異なる。恵比寿笑いは10℃推奨) |
| 用土 | 硬質赤玉土4:軽石3:鹿沼土2:くん炭1(用土ガイド参照) |
| CITES | 多くはApp. II。アンボンゲンセ・バロニー・デカリー・ウィンゾリーはApp. I(希少種) |
冬の管理詳細は塊根植物の冬越し管理を参照してください。
グラキリス・ラメレイ・恵比寿笑いの3種比較
| 比較項目 | グラキリス | ラメレイ | 恵比寿笑い |
|---|---|---|---|
| 塊茎の形 | 球形〜卵形 | 細長い円柱 | 扁平な塊 |
| 花色 | 黄花 | 白花 | 黄花 |
| 成長速度 | 遅い | 速い | 遅い |
| 難易度 | 中 | 易 | 中〜難 |
| 価格 | 高い | 安い | 中程度 |
| 初心者向き | △ | ◎ | △ |
2種ずつのより詳しい見分けは、ラメレイとゲアイーの違い・見分け方、グラキリスと恵比寿大黒の違い・見分け方もあわせてどうぞ。
Aucfree落札データで見る相場と流通量
Yahoo!オークションの落札アーカイブ(Aucfree, 2021/01〜2026/04)から、パキポディウム各種の全期間の落札価格の中央値と5年間の落札数(流通量の目安)を一覧にしました。価格は実生の小〜中株が中心で、良型・大株・現地球・発根済みは数万〜数十万円と幅があります。相場感や品種選びの参考にどうぞ。各品種名から個別図鑑(育て方・高額落札Top3)に進めます。
| 品種 | 価格帯(中央値) | 5年落札数(流通量) |
|---|---|---|
| サンデルシー | — | 678件 |
| イノピナツム | ¥8,910 | 4,496件 |
| グラキリス | ¥9,191 | 94,501件 |
| ゲアイー | — | 255件 流通少 |
| ウィンゾリー | ¥5,000 | 12,016件 |
| ビスピノーサム | — | 2,048件 |
| アンボンゲンセ | ¥5,250 | 6,222件 |
| エブレネウム | ¥2,709 | 5,571件 |
| 光堂 | — | 1,531件 |
| バロニー | ¥2,300 | 3,087件 |
| デンシカウレ | ¥1,700 | 5,743件 |
| デカリー | ¥4,000 | 756件 |
| デンシフローラム | — | 2,829件 |
| マカイエンセ | — | 8,944件 |
| ロスラーツム | ¥1,650 | 1,341件 |
| ブレビカウレ | ¥2,120 | 5,477件 |
| ラメレイ | ¥1,500 | 318件 流通少 |
| サクレンタム | — | 909件 流通少 |
| ホロンベンセ | ¥2,300 | 3,565件 |
💡 相場の背景はなぜ塊根植物は高いのか(高くなる理由)、安全な入手先は塊根植物はどこで買う?購入先6つを比較で詳しく解説しています。
原産地と系統でわかるパキポディウムの全体像
パキポディウムは、産地で大きくマダガスカル産とアフリカ大陸産に分かれます。園芸で流通する多くはマダガスカル産で、丸い塊根やボトル型の樹形はこのグループに集中しています。さらにマダガスカル産の中には、グラキリスを含むロスラーツム(ロスラツム)複合群という近縁のまとまりがあり、姿が似て混同されやすいのが特徴です。全体像を産地・系統でつかむと、名前の似た品種の関係が整理できます。
| 産地グループ | 主な品種 | 特徴 |
|---|---|---|
| マダガスカル産 14種 | グラキリス/ロスラーツム/ラメレイ/ゲアイー/恵比寿笑い(ブレビカウレ)/ホロンベンセ/デンシフローラム/エブレネウム/イノピナツム/マカイエンセ/デカリー/アンボンゲンセ/バロニー/ウィンゾリー | 塊根・ボトル型が多く、園芸流通の中心。丸い塊根種の大半がここに含まれる。 |
| アフリカ大陸産 4種 | ビスピノーサム/光堂(ナマクアナム)/白馬城(サンデルシー)/サクレンタム | 南アフリカ〜ナミビアの乾燥地に自生。細身の幹や筒状花など、マダガスカル産と趣が異なる。 |
| 園芸交配種 1種 | 恵比寿大黒(デンシカウレ) | デンシフローラム×ブレビカウレの交配で、自生地は持たない。丸く盛り上がるドーム状。 |
ロスラーツム複合群:グラキリス・ホロンベンセ・イノピナツム・エブレネウム・マカイエンセは、ロスラーツム(Pachypodium rosulatum)の変種・亜種として記載された経緯を持つ、姿のよく似た近縁グループです(分類はPlants of the World Online〈Kew〉に準拠)。学名に付く var.(変種)や subsp.(亜種)は、この近い血縁関係を示す記号です。丸い塊根で姿が似るのはこのためで、見分けは丸い塊根パキポディウムの見分け早見表が便利です。
希少種とワシントン条約(CITES):パキポディウムは国際的に保護されており、なかでもアンボンゲンセ・バロニー・デカリー・ウィンゾリーは取引が特に厳しく規制される附属書Iに掲載される希少種です(その他の多くは附属書II)。入手時は栽培由来・国内流通・販売者の説明を必ず確認してください。
花の色で選ぶパキポディウム
パキポディウムは黄花が多数派ですが、白花や、属内では珍しい赤花もあります。花色は品種選びの好みの軸になるだけでなく、姿の似た種を見分ける手がかりにもなります(花色は各品種の図鑑記事の記載に基づきます)。
| 花色 | 品種 |
|---|---|
| 黄花 7種・最も多い | 恵比寿笑い(ブレビカウレ)/グラキリス/ロスラーツム/ホロンベンセ/デンシフローラム/マカイエンセ/恵比寿大黒(デンシカウレ) |
| 白花 6種 | ラメレイ/アンボンゲンセ/デカリー/エブレネウム/イノピナツム/白馬城(サンデルシー) |
| 赤花 2種・属内では希少 | バロニー/ウィンゾリー |
| 中間色ほか 3種 | ビスピノーサム(紫〜ピンク)/サクレンタム(白〜淡ピンク)/光堂(ナマクアナム/内側が赤・外側が黄緑の筒状花) |
赤花のバロニー・ウィンゾリーの見分けは赤花・白花パキポディウム3種の見分け早見表、黄花で丸い塊根種は丸い塊根パキポディウムの見分け早見表で、それぞれ花色・樹形から確認できます。
丸い塊根パキポディウムの見分け早見表
グラキリス・ロスラーツム・恵比寿笑いなど、丸い塊根に黄花のパキポディウムは姿が似て混同されがち。花色・塊根の形・サイズで見分けられるよう、POWO等の一次情報をもとに7種を一覧にしました。各カードをタップすると、その品種の図鑑(相場・育て方・見分け方)へ進めます。
※ サイズは原産地の大型株の目安で、栽培株・実生苗はこれより小さくなります。分類はPlants of the World Online(Kew)に準拠。
品種別の見分け早見表
似た品種が多いグループは、花色・塊根の形・サイズで一覧比較できる早見表にまとめています。気になるグループから見分け方を確認できます。
よくある質問(FAQ)
Q. パキポディウムは何種類ある?
記事では日本で入手しやすい主要種を20種以上、一覧で解説しています。属全体ではさらに多くの種が知られますが、流通の中心はグラキリス・ロスラーツム・ラメレイなどです。
Q. パキポディウムの花は何色?
白花(ラメレイ)、黄花(ロスラーツム・恵比寿笑い・グラキリス)、赤花(バロニー・ウィンゾリー)があり、赤花は属内では珍しいタイプだと本文で解説しています。
Q. 初心者におすすめのパキポディウムは?
本文は最初の1株にラメレイを推奨しています(最も安価で夏型・管理がシンプル)。ほかにゲアイー・ロスラーツム・ホロンベンセも育てやすい種として挙げています。
Q. パキポディウムはなぜ高い?相場は?
種類とサイズで幅が大きく、小苗は数千円から、大型の整形株は数万〜十数万円になることもあります。高価な背景には成長の遅さや輸入規制があり、詳しくは「塊根植物はなぜ高い」で解説しています。
Q. パキポディウムの種類はどこで見分ける?
幹の色と質感(ゲアイーは灰色のベルベット状)、棘の色(エブレネウムは象牙色)、花色、葉の並び方(デカリーは螺旋状)、塊根の形などで見分けると本文で解説しています。
赤花・白花パキポディウム3種の見分け早見表
黄花が多いパキポディウムの中で、例外的に赤花・白花を咲かせる3種。いずれもずんぐりした塊根とトゲを持ち混同されがち。花色・樹形・サイズで見分けます。各カードをタップで図鑑へ。
※ 3種ともCITES附属書I掲載の希少種。入手時は栽培由来・国内流通・販売者の説明を必ず確認してください。赤花・白花はパキポディウム属では例外的(多くは黄花)です。
まとめ
- パキポディウムには20種以上の品種があり、難易度は大きく異なる
- 初心者の最初の1株はラメレイがおすすめ
- 最人気・コレクター価値が高いのはグラキリス
- 多くの種がCITES附属書IIに掲載。アンボンゲンセ・バロニー・デカリー・ウィンゾリーは附属書I(ワシントン条約対象の希少種)
- 基本的な育て方は全種共通(夏型・断水越冬・直射日光必須)



















