「ホリダとバリダって何が違うの?」「オベサとメロフォルミスの見分けは?」——多肉・塊根ユーフォルビアは似た姿の種が多く、名前と実物が結びつきにくいのが悩みどころです。この記事は、コレクターが実際に迷いやすいユーフォルビア同士の見分け(種間の違い)9パターンを、「まず姿の系統で大別 → 稜(りょう)と花柄(かへい)の跡で詰める」という順番で、CC実株写真とチェックポイント表にまとめた総覧です。
> 安全上の注意:ユーフォルビアはすべて傷口から白い乳液(ラテックス)を出し、有毒で皮膚・粘膜・目に強い刺激があります(ミルクブッシュなど一部は特に危険)。観察で汁が出たら触らず、手袋を使ってください。
結論:まず「姿の系統」で大別し、稜と花柄で詰める
見分けの3ステップ(順番が大事)
1. 乳液と科で「そもそもユーフォルビアか」を確認:傷口から白い乳液が出て、トゲの根元に刺座(アレオーレ)が無ければユーフォルビアです。サボテンとの判別はユーフォルビアとサボテンの違い、パキポ・アデニウム等との属判別は塊根植物を属で見分けるで詳しく解説しています。
2. 「球状か柱状か」で系統を大別:ずんぐり丸い球状(オベサ・バリダ・メロフォルミス系)か、縦に伸びる柱状で稜が多い(ホリダ・ポリゴナ系)かで、候補が半分に絞れます。
3. 稜数と“枯れた花柄の残り方”で詰める:ユーフォルビアの「トゲ」の多くは、実は枯れて硬化した花柄(peduncle)です。これが刺状に長く残るのか、櫛状に枝分かれして残るのか、ほとんど残らないのかが、近縁種を分ける決め手になります。
球状ユーフォルビアの見分け:オベサ × バリダ × メロフォルミス
丸くて稜のある“メロン型”のグループです。オベサ・バリダ・メロフォルミス・プセウドグロボサはよく混同されますが、花柄の残り方と体の縞模様で見分けられます。


ポイントはバリダとメロフォルミスが非常に近いことです。分類学者G. Marxはバリダをメロフォルミスの亜種(E. meloformis subsp. valida)として扱っており、中間的な個体もあって厳密な区別は難しいとされます(出典: llife.com/International Euphorbia Society)。一般にはバリダの方が背が高く花柄が多く残り、メロフォルミスは扁平で横縞が目立つと覚えると実用的です。オベサとバリダの詳しい見分けはオベサとバリダの違いで深掘りしています。球状で群れる小型種はプセウドグロボサ(ミニオベサ)も要チェックです。
柱状・多稜ユーフォルビアの見分け:ホリダ × ポリゴナ(とバリダの誤解)
灰緑色で稜が多く、縦に伸びる“柱サボテン似”のグループです。ホリダとポリゴナは非常に近く、体だけでの区別は難しいとされます(出典: llifle.com)。なお「ホリダ×バリダ×ポリゴナ」で迷う人が多いのですが、バリダは実は上の球状グループ(メロフォルミス系)で、ここに混ざると混乱のもとになります。まずは球か柱かで分けるのが近道です。

見分けの決め手は体の色と花柄(刺)の長さです。ホリダはより灰色が強く花柄(刺)が長く(〜40mm前後)、ポリゴナはやや緑で細く花柄が短めです。ポリゴナの白い園芸品種「スノーフレーク」(E. polygona ‘Snowflake’)は白粉をまとった選抜個体で、ホリダと混同されやすいので流通名に注意してください(メロフォルミス・ポリゴナの実株写真は追って追加予定)。
塊根性ユーフォルビアの見分け:トルチラマ × クラバ
地際に塊根をもち、結節(イボ)の並んだ枝を出す南アフリカ産のグループです。トルチラマとクラバは似ていますが、結節の並び方で見分けます。
> 名前の注意(要確認):日本の流通では「クラビゲラ」と「クラバ」が混同されがちですが、クラビゲラ(E. clavigera)はクラバ(E. clava)とは別の有効種です(出典: POWO/Kew)。ラベル表記と実物が一致するか、購入時に確認してください。トルチラマの実株写真は追って追加予定です。
属をまたぐ見分け(サボテン・パキポ・モナデニウム・ミルクブッシュ)
ここまでは「ユーフォルビア同士」の見分けでした。他の科・属との違いは“姿”ではなく“乳液と刺座”で判定でき、別記事に詳しくまとめています。要点だけ整理します。
パキポそっくりに擬態したユーフォルビア・パキポディオイデスのように、属をまたいで“そっくりさん”がいるのもユーフォルビアの面白さです。
見分け早見表(9パターン)
まとめ
次に読む
よくある質問(FAQ)
Q. ホリダとポリゴナの違いは?
どちらも灰緑色で稜が多い柱状ユーフォルビアで、体だけでの区別は難しいとされます。目安として、ホリダの方が灰色が強く枯れ花柄(刺状)が長く(40mm前後まで)、ポリゴナはやや緑で細く花柄が短めです。ポリゴナの白い園芸品種「スノーフレーク」も混同されやすいので流通名に注意します。
Q. バリダとメロフォルミスはどう見分けますか?
非常に近縁で、分類学者G. Marxはバリダをメロフォルミスの亜種として扱っています。中間個体もあり厳密な区別は難しいですが、一般にバリダの方が背が高く枯れ花柄が櫛状に多く残り、メロフォルミスは扁平で横縞(バンド模様)が目立ちます。
Q. ホリダやバリダの「トゲ」は本物のトゲですか?
多くは本物のトゲ(刺)ではなく、枯れて硬化した花柄(peduncle)です。花が終わった後の柄が残って刺状に見えます。この花柄の残り方(刺状・櫛状・ほぼ無し)が近縁種の見分けの決め手になります。
Q. ユーフォルビアとサボテンはどう見分けますか?
傷つけると白い乳液が出て、トゲの根元に刺座(アレオーレ)が無ければユーフォルビアです。サボテンは刺座があり乳液は出ません。詳しくは別記事「ユーフォルビアとサボテンの違い」で解説しています。乳液は有毒なので手袋を使ってください。
